こんにちは!タクです。今回はセブに関わり始めて5年、滞在約3年の筆者が考える「セブはもっとこうなったらいいのにな」という2つの観点についてご紹介します。住んでいてかつ働いているからこそ感じる、マクロとミクロ2つの観点から考えてみようと思います。
筆者はセブでの滞在歴が3年になりました。25歳でセブに3年滞在しているということ、最近まで筆者は24歳でしたから、それで考えると人生の8分の1はセブで生活していることになります。正直、日本以外の国でこんなにも長く生活していくとは思ってもみませんでした。でも結果的にここ働けていることに対しては、とても感謝しているとともによかったなあ、と感じています。
そんなセブですが、観光で訪れるにはとても素晴らしいところです。勤務しているのが旅行会社だからこそわかるのですが、セブ島やマクタン島・ボホール島へ観光・旅行で訪れる方の大半が「3泊4日」です。これが現地にある観光資源の量と上手くマッチしています。
セブと言ったらやはり南国リゾートのイメージが強いですから、まずほとんどの方は海で何かしらの時間を過ごします。そして離島でありながら日帰りで訪れることのできるボホール島もまた非常に人気の高い観光地です。更にセブはフィリピンの中で一番最初にキリスト教が世界一周の航海士「マゼラン」一行によって布教された土地であり、歴史的にも重要な建築物や物品が残る場所です。海、ボホール島、セブ島の歴史名所を回ることで大体3日かかるので、3泊4日であれば十分楽しめるだけでなく、「次回はショッピング中心に!」「もっと海の時間を割きたい、ダイビングライセンスを取ってからまた来たい!」と考えてくださる方が多いようです。これが3泊4日と現地の観光コンテンツがマッチしていると筆者が考える理由なのです。
長期滞在していると見えてくる貧富の差
今回のトピックで取り上げたい、マクロ視点のセブの問題は「貧富の差」です。もちろんこれはミクロに見ていっても問題なのですが、マクロとして取り上げたかったのは腐敗してる政治の問題です。
2013年に台風ヨランダ(ハイヤン)がセブ周辺のフィリピンビサヤ地区を襲いました。最も大きな被害を受けたレイテ島・タクロバンでは複雑な湾の形が高波を引き起こし、多くの犠牲者が出てしまったことは記憶に新しく、世界的にも大きな報道がなされました。筆者は実際にそのタクロバンへ、被災2週間後に現地入りして支援活動と状況の調査報告を日本のNGOの現地メンバーとして行いました。その際の報告は「オルタナS」さんでご紹介頂き、沢山の日本の方に現状を知って頂くことができました。
支援活動の様子です。台風の被害報告の記事についてはこちらをご覧ください。
現地に入り凄惨な状況の中で聞かれたのは、現地の方々の政府に対する不信感でした。
これまでフィリピンの大統領は暗殺されたり、就任してもすぐに交代するなど、どちらかと言えば不安定な状態を繰り返してきた歴史を持ちます。この影響もありフィリピンの政治は腐敗を続け、闇に消えていく多くの公的拠出金などが度々問題として国内で報道されています。日本でもまだ年度末になると急に道路工事が増えますが、これは国から割り当てられた予算を使い切るための方法の1つです。フィリピンではもっとこれが顕著で、セブでも去年直した道を今年の1月ごろから掘り返してまた作っていました。
被害を受けたレイテ島の街で支援活動をしている際に聞かれた「政治への不信感」は結果としても現れました。フィリピンの軍がタクロバンに入る前に、既にトルコやイスラエルの支援物資が届いていた他、軍が支援を上手く行えなかったという批判は今も根強く残っています。仮に軍による支援活動がとても上手く行っていたとしても、それを批判する流れを断ち切れたかどうかはわかりません。小さなセブの中のバランガイ(村のような行政最小単位)選挙でも票の買収が横行しており、筆者は偶然落選者に知り合いがいたため話を聞いてみると「今回はお金が少し足りなかったんだ」と話していました。
筆者が2010年にセブに関わり始めたのは、こうした政治の腐敗から社会保障政策がうまく機能していないことにより、貧富の格差がかなり広がっているセブ島の貧困地域へ、支援を行っていきたいという思いからでした。設立したNGO FESTは大学生を中心に現在は日本で3支部、セブでも4つ以上の支援先を定めて国際協力活動を今も継続しています。地域によって問題は様々なのですが、バランガイを始めとした行政単位が貧困地域への支援をしっかりと行えていないどころか、セブの再開発にやっきになっている側面から貧困地域は強制立ち退きが繰り返されています。(ただし貧困エリアは土地を不法に占拠している住民側にも非がある場合もあり、問題の解決は一筋縄ではいかないのが現実です。)
家族設計と避妊
ミクロな視点で1家族単位で見てみても、貧困に絡んだ問題が見えてきます。この1つが家族設計と避妊です。セブは9割以上が敬虔なクリスチャンの方々で構成されている社会で、全国的に見てもこの割合はほぼ同じです。キリスト教の考え方の1つに中絶を禁ずる考え方があるといいます。(筆者はクリスチャンではなく、またキリスト教には多くの細分化された宗派があるため、一概に言い当てているわけではありません)
筆者がマニラのある通りをと訪れた時に、薬草のような長い葉を売っている方を見かけました。日本では見たこともないものだったので何かと訪ねてみると、「これは流産するために使う薬草で煎じて飲む。中絶が禁止されている世の中だから、どうしても中絶したい場合にあくまでも不運にも流産した、という形にするために使うものだ。」と教えてもらいました。愕然としました。そういうことが世の中にはあることを知り、衝撃を受けたのを今でも覚えています。
フィリピンの平均年齢は約22歳と言われ、経済成長のめまぐるしい首都メトロ・マニラは「20年後世界経済の中心になる可能性を秘めている」と言われるほどです。この平均年齢の理由の1つとして避妊をしないセックスが未だに減っておらず、結果的に望まない妊娠をしてそのまま出産を繰り返す家庭が多いようです。このため1家族当たりの子どもの数が6人とも8人とも言われています。筆者は一人っ子ですが、セブでそれを現地の人に話すと驚かれます。そんな家庭はセブでは滅多にないということなのです。
広がる貧困の中で望まない妊娠・出産を繰り返してしまうと、家計が非常に厳しくなってきます。収入は大きく増えたわけではないのに、食費が2倍3倍とどんどん増えていってしまう。収入が増えていないのに支出が増えて貧困状態に向かっていってしまう悪循環です。こういった問題を解決するためには、教育の力が必要だと感じます。筆者はこんな理由から、これからを担う若いフィリピンの子どもたちが、しっかりと学び、正しい知識を持つ人たちが増えていくことを願っています。
原文元:こうすればセブがもっと良くなる!と思う2つのポイント | W.W.J.world – http://wwj.world/
(Taku)