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サリサリストアから見るフィリピン経済と社会

 

近年の経済発展を受け、フィリピンの消費生活は多様化しつつあります。マニラやセブの都市部では大型のショッピングモールやスーパーマーケットが乱立しています。一方、このような近代的な商業施設を横目に、庶民を対象とした伝統的な市場は依然と活気を持っています。パレンケ(常設の市場)・タリパパ(一時的な仮の市場)・サリサリストア(小規模小売店)がそれにあたります。特にサリサリストアはフィリピン全土に散在しており、その数は無数です。

無数にあるサリサリストアは庶民の人々にとって最も大切なものであるとともに、人々の生活に多大な影響を与えてきました。

今回は「サリサリストア」が一体どのようなものであるか見てみましょう。

 



 

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まず、「サリサリ」とは現地の言葉で「種々の」という意味です。

サリサリストアの歴史は古く、12世紀の中国との交易によって生まれたと言われています。さまざまな形のショッピングモールや流通手段が台頭してきているにもかかわらず、今もなおサリサリストアが存続している理由として利用者、特に庶民の人々の生活水準とニーズに合わせた販売方法が挙げられます。

 

①商品の多さ

缶詰・干物・お米・果物・パンなどの食品、ビール・ソフトドリンク・たばこ・コーヒーなどの嗜好品、塩・魚醤・ケチャップ・コショウ・味の素・オイルなどの調味料、さらには洗剤・シャンプー・文房具店蚊取り線香・などの日用雑貨も売られています。このようにフィリピン生活に必要な基本的なものはそろっています。

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②最小単位販売

サリサリストアではばら売り、量り売りが基本です。シャンプーや洗剤、歯磨き粉は一回分が小分けにされています。タバコなども一本から買うことが出来ます。

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③利便性

サリサリストアでは商品を大型のスーパーで仕入れていたり、小分けにしたりするので、商品の価格は通常のものよりも若干高くなります。しかし、近所にあるため、買い物に行くための交通費が必要ありません。また、日中の暑い時間帯や雨の多い季節などは近場のサリサリストアが重宝されます。

写真のように住宅地やスラム街の中にもサリサリストアはあります。

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④お得意様

顔見知りの地域住民が店と信頼関係を築くと、値引きやツケなども出来ます。このようなお客はお店にとって固定客となります。

 

上記はサリサリストアが支持されている経済的な理由ですが、そのほかにも社会的な理由も挙げられます。

 

⑤社交の場

サリサリストアは地域住民の情報交換の場、社交の場となります。店の前には木製の長椅子やプラスティックのいすが置いてあり、夕方ごろになると人が集まってきます。フィリピンの人々は空いている時間を家の中で過ごすよりも外で過ごす方が好きです。涼しい時間帯になると外に出てきて、近所の人々とジュースやお酒を飲みながら談笑します。

 

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⑥家族労働

サリサリの店員さんは家族のおじいちゃん、おばあちゃん、または身体障害者や小さな子供であることも少なくありません。特別な賃金などはありませんが、彼らの自立を促し、社会と接触できる場となります。

 

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⑦子どもの教育

上記で挙げたように店員が子どもであったり、客が子どもであることは多く、幼いころから多くの大人と接し、お金を扱うことで金銭感覚、商い、人々(特に目上の人)への接し方、礼儀など社会で必要なことを学ぶことが出来ます。幼いころから、地域の共同体構成員としてマナーを学ぶことは大切なことです。

 

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サリサリストアは生活雑貨を売るだけでなく、食堂を併設したり、コーヒーの自動販売機をおいたり、貸し電話を行うなど、店の資金力によって、経営方法は多様です。

 

このような地域に根ざし、消費者のニーズや生活スタイルに合った小売店では、何を売るにしても、買うにしてもコミュニケーションが必要不可欠です。それゆえ、子どもは幼いころから多くの人々からたくさんの事を学ぶことが出来るし、信頼関係の築き方も学ぶことが出来ます。

さまざまなものが自動となり、便利になっている代わりに日本人がなくしたものがサリサリストアにはあるように思えます。

 

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(ヤス)

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