言わずと知れたフィリピン名物ジプニー。フィリピン国内全土で庶民の足として活躍している公共交通手段です。
ジプニーは戦時中にフィリピンに駐留していたアメリカ軍が置いて行ったジープが起源とされています。フィリピンを訪れる人は必ず目にするくらい数が多く、存在感が大きい乗り物です。
しかし、ジプニーと言っても様々な種類があります。
今回はセブで見かけることが出来るジプニーとその実態を紹介します。
まず、ジプニーは基本的にオーナーが所有しており、ドライバーは日払いなどで借りて運転しています。レンタル料金はジプニーの大きさやオーナーによりますが、500ペソから1000ペソになります。
それぞれのジプニーには決まったルートがあり、そこを外れることはできません。プライベートで使用したい場合はルートを外れる許可書を取得しなければなりません。さもなくば、警察に捕まり罰金や免許はく奪となる恐れがあります。
ジプニーはフィリピン国内どこでも見ることが出来ます。都会では短距離用、地方では中距離用と用途は多少異なります。種類やカラーも場所によって異なります。
料金は最低運賃が8ペソ(約17円)となっており、それから距離におじて1ペソずつ増えていきます。地方の中距離では1時間ほど走っても20ペソ(約45円)程度です。
ちなみに学生・高齢者・障害者は20%ほどのディスカウントがあり、彼らの最低運賃は6ペソ~7ぺそ(約13円~15円)になります。小学生のような小さい子どもは5ペソ(約12円)です。子どもは大人のひざの上に乗ると場所をとっていないということで無料になります。
セブではフィリピンでも多くの種類のジプニーを見掛けることが出来ます。代表的な4つを紹介します。
●multicab
ムルティカブと呼ばれる小型のジプニー。片方の長椅子に8人以下、全体で16人以下の収容数の軽トラックを改造したジプニー。セブやマクタンで主流のタイプで、小さい道に適しているが内部は幅・高さ共にかなり狭いので大柄な人には窮屈です。スピードもあまり速くはありません。
●charriot
もっとも典型的なジプニーで米軍のジープの面影をのこしているチャリオットです。カラーバリエーションやペイントが施されていますが、ステンレスの銀色がオリジナルです。片方の長椅子は10人、合わせて20人がキャパシティーになります。馬力もあり、どんな場所でも走ります。
セブでは数は少ない方ですが、マニラや他の島では主流となります。
チャリオットがずらりと並んだ光景は圧巻です。
●cares
ムルティカブとチャリオットの中間のようなジプニー、ケアーズ。フォルムはチャリオットに似ていますがボディーはムルティカブに似ています。収容人数はチャリオットと同じ20人です。このタイプは数あるジプニーの中でも新しい部類で企業の広告等になっていることも多いです。
同じタイプのケアーズを所有しているオーナーの駐車場です。このオーナーは15台のジプニーを所有しており、1日800ペソでレンタルしているので1日で12000ペソ(約30000円)のもうけになります。
●canter
もっとも新しいタイプのジプニー、カンター。大型のジプニーで片方の長椅子に12人以上、合計25人ほどの収容人数を誇ります。エンジンも大きく、パワフルな走りです。ムルティカブの1.5倍から2倍の大きさがあります。
ジプニーの運転席は大体、機械がむき出しになっており、熱がこもっています。年中暑いフィリピンでエアコンもなく砂埃が吹き込んでくる中、運転をして、さらに料金の計算や大声で呼び込みをしなければなりません。
また、車内は十字架やキリスト関係のものが飾られています。
メーターなどは壊れていることが多いです。
ジプニーは日本の中古のエンジンを搭載し、フィリピンでボディーが作られます。
ガソリンの予備タンクを入れている様子です。ジプニーは中古の使い古されたエンジンを使っていることが多いので燃費は良くありません。なのでジプニーに乗っていると頻繁にガソリンスタンドによります。
地方の中距離ジプニーの場合、本数が限られてくるので、可能な限り人や物を詰め込みます。後部にしがみついたり、屋根部分に乗ったりします。
地方のならではの光景です。緑の中を風を感じながら移動するのも気持ちいです。
ジプニ―工場で作製工程の途中のジプニーです。まだ色が塗られていない段階です。
大抵のジプニーについているランプですが、何の用途かお分かりでしょうか。これは日本のタクシーなどにもあると思いますが、強盗や何か車内にトラブルがあった場合、中の人にばれずに外の人に気づいてもらうための非常ランプです。
チャリオットタイプはきれいなデコレーションが施されています。フィリピン国旗、ミラー、アンテナ、コーティング、ペインティングなど今まで私が見たジプニーの中でも最高レベルのかっこよさです。
ジプニーにはいろいろなペインティングが施されています。
他にもジプニー後部にユーモアなメッセージが書かれていたり、車内に大音量の音楽が流れていたりとオーナーやドライバーの個性が表れます。
ちなみに朝にジプニーに乗る時は小額紙幣、出来ればおつりがないように支払いをしましょう。運転手はお釣りを持っていない事が多く、困ってしまいます。
慣れないと少々難しいジプニーですが、使いこなすと安く簡単に移動が出来るようになり、フィリピンライフを楽しく、充実したものに出来ると思います。車内での人とのふれあい、コミュニケーションもジプニーの魅力です。
(ヤス)