観光地として名高いフィリピンのマクタン島に、カジノを含めた統合型リゾート施設(IR)が建設されることが具体的に決まったようです。
無事に完成すると首都マニラ以外では初のIR誕生となり、現在凄まじい勢いで成長を続けるフィリピンのカジノ産業を更に加速させる存在となりそうです。
今回はそんな観光市場にも大きく影響を及ぼすと思われるIR、名称「ラプラプ・レジャー・マクタン」とフィリピンのカジノ事情について少し見てみることにしましょう。
■IRとは!?カジノを含む統合リゾートは、英語ではIntegrated Resorts(IR)と表記されます。IRはカジノのみならず、ホテル、劇場、パーク、ミュージアム、MICE施設などを一つの区域に含む統合施設です。
IR施設のほとんどが、面積全体のうちカジノ部分は5%未満に過ぎませんが、売上高では80%以上を稼ぎ出すと言われています。
IRの収益メカニズムは、施設全体が集客し、カジノ部分が集中的に収益化(売上回収)、マネタイズする仕組みと言われています。逆に言えば、カジノ以外の施設(面積では95%以上)は、カジノに繋がる間口を広げる役割にすぎないということです。
■フィリピンのカジノ事情
世界のカジノ産業に関する調査報告書によると、フィリピンのカジノ市場規模は、2010年に5.6億ドルから2015年には倍以上の12億ドルを超えたと言われています。
アジア域内ではマカオ(約621億ドル)、シンガポール(約71億ドル)、韓国(約26億ドル)に次ぐ4番目です。外国人の渡航数と見比べるとフィリピンのカジノ市場は、韓国を近々追い抜くのではと言われるほど急成長しています。
■IR ラプラプ・レジャー・マクタンカジノを運営する政府機関、フィリピン娯楽ゲーム公社が5月上旬に建設許可を提出して着工が決まったIRの名称は「ラプラプ・レジャー・マクタン」です。
総工費3億4100万ドルで、マクタン島の海辺に面した広さ12万5千平方メートル(東京ドーム約2.5個)の敷地に、カジノ施設をはじめ高級ホテルやコンベンションセンター、ショッピングモールが建ち並ぶ予定です。着工は2019年より始まることが決まっています。
完成したIRには、高級ホテルやヴィラに会議場、スカイダイビング施設も建設されるとのことで、パチンコ、スロット機で有名な日本のユニバーサルエンターテイメントも関わっているというから大規模な計画であることがわかります。
■中国人観光客が成功のカギ?フィリピンのドゥテルテ大統領が、中国との関係を改善したことから、フィリピンでは今後は中国人観光客が増えると予想されています。ドゥテルテ大統領が打ち出した親中路線の外交政策も影響してくることでしょう。
カジノの収益は外国人富裕層を取り込めるか否かが鍵を握ります。観光省の調査では、2016年にフィリピンを訪れた観光客数は1位が韓国(約147万人)、2位が米国(約87万人)、3位が中国(約67万人)で、日本がこれまでキープしていた3位の座を中国に明け渡して4位(約53万人)に転落しています。しかし、増加率だけで見ると、中国人観光客の増加率は前年比38%で断トツの伸び率を見せています。
■ホテル価格への影IRが完成すれば、その恩恵をもろに受けることになるのは周辺ホテルです。マクタン島内には多くの高級ホテルがあり、その多くが中間層〜富裕層をターゲットにしています。IRが完成すれば多くの観光客がホテルを利用することになり需要が高まるので、必然的にホテルの価格も上がることが予想できます。
IRはマクタンの産業全体に影響を与えることが予想できます。関係者は先を見据えて対策を取る必要がありそうですね。
日本でもカジノを含む統合型リゾート(IR)を解禁するIR推進法が昨年12月に施行され、カジノを身近に感じるようになりました。
マクタン島に住む筆者としては、とても気になる今回の「ラプラプ・レジャー・マクタン」着工決定のニュース。マクタン島が眠らない街になる日も遠くはないかもしれません。
(REON)