海外で生活していても日本と同様に、その滞在が長くなればなるほど日常的な問題が発生します。食の問題、住居の問題、貯金や家族、休みの過ごし方など、挙げていけばきりがないのですが、その中の1つとして医療があります。セブにはいくつかの病院がありますが、今回は歯医者に行った場合にどんな治療を受けることができるのか、実際に体験してきました。
今回筆者は歯に痛みを感じたため、歯医者を探すことにしました。すると歯医者はセブドクターズホスピタル、マクタンドクターズホスピタルといった地域の主要な大学病院のような場所にもあり、かつクリニックとして開業医が働いているものもありました。これは日本と同じですね。その中でもSMにあるクリニックが良いとのことで実際に受診しました。
受信したクリニックの入り口です。名前にスパと書かれていますが、マッサージが行われる店舗ではありません。スパという言葉には大きく保養所といった意味があり、癒やすから治すに転じた意味合いが込められているようです。
待合室にはいくつかの椅子が置いてありますが、この日は筆者が訪れた際に1人順番待ちをしている状態でした。
カウンターに行くとまず症状と必要な治療について聞かれますので、初診の場合はその旨を、継続治療の場合はドクターの名前を告げます。特に2回目以降の場合には、ドクターのアポイントメントを取っておくとスムーズに治療を受けることができます。初診の場合には名前や保険の内容などを記入し、順番を待つことになります。
治療のための椅子に座ると、日本と同様に口腔を照らすためのライトが頭上に設置されていることにまず気づくと思います。このクリニックは説明にビサヤ語、英語を利用することができます。日本人の方は英語がある程度話せないと治療を受け正確に現状を把握することが難しくなります。
現地で生活をしていると、こういった治療や交渉、支払いなどの話に英語が使われますが、こういった日々のやり取りが英語で行われるので、学びにもなりますがそもそもある程度の理解ができないと、最初はとても苦労することになるかもしれません。特に日本人の方の多くは、筆者も含めて海外の病院を受診した経験が少ないため、街で普通に生活できる英語力をもっている人でも、いざ病院で英語を聞くと、医療用語の英語が理解できない場面が多々あるかと思います。例えば血液検査を受ければ赤血球、白血球などの数値が出てきますが、筆者は初めて海外でそういった検査を受けた際に相当苦労しました。歯医者は特に、日常的に通う場所ではないので、新しい単語が沢山出てくるかもしれません。
治療を行う椅子は電動のリクライニングで、これも一般的な日本のものと同じです。頭が下がっていき、ライトがつき、治療が始まります。
右手にドクターが座り問診、レントゲンを撮った後に治療を開始します。口腔の状態をチェックし現状を把握した後、治療方針の説明があります。このクリニックには日本の病院と同じように、歯の模型がありました。具体的にどこが悪いので、こういった治療を行っていきますと詳しく説明してくれるので、受診する前のイメージよりは不安が消え、今後の展開を把握することができます。
椅子の左手には治療の合間にうがいをする機器もあります。セブのクリニックは電動の機器が多く、正直想像以上の充実度でした。またこちらに住んでいると日本と比べどうしても衛生に対する意識の感じますが、さすがにそこは病院、非常に清潔に維持されている部屋でした。
ただ実際に研磨などの治療をしていくと、日本とは異なる点がいくつか見えてきます。
まず歯を削ったりクリーニングする際に、研磨する道具のそばに日本でも水を流し込みながら治療をしますが、日本ではその水が口の中でたまり、それを吸い取る機器で口腔の水の量を一定に保ち継続して治療が行えるようにします。このクリニックでも1人のドクターが治療と水の噴射、もう1人が左側から水を吸い取る機器を使っていましたが、その水が歯や吸い取る機器に当って弾け、顔がかなり水浸しになります!こちらではこれが一般的なのか、定期的に治療中、顔を拭いてもらいながら治療が進んでいきます。
また日本であれば、「治療中痛みを感じたら手をあげて下さい」など事前に治療中の意思表示についてアドバイスされるかと思いますが、このクリニックではそういったことはなく、また治療中にかなり話しかけてきます!口を大きく開けて治療してもらっているのに、どうやって質問に答えればいいんだ!!と筆者は思いましたが、治療をしてくれている2人も話しながら行っていますし、どちらの方も筆者に沢山の質問をぶつけてきました。日本では一旦治療に入れば黙って一区切りつくまで行っていくと思いますが、そのあたりもセブの方のおおらかさを感じました。
今回最もびっくりしたのは、口腔から水を吸い取る機器を持っていた方が、大きく口を開けて動けなくなっている筆者の顔の前でおおきなげっぷをしたことです!げっぷをした本人とドクターもこれには大笑い!セブでは食事後、女性でも大きなげっぷをすることがかなり一般的なのですが、それでもまさか治療中の至近距離からそんなことをされるとは、思ってもみませんでした。大笑いしてしまったため治療が数分中断して、少し談笑するなど、これもまた日本では体験できないような雰囲気でした。
ちなみに、撮影した2枚のレントゲン(1枚300ペソ(約800円))はカルテの作成のために基本的にはクリニックが保存するものの、希望があれば持ち帰ることもできるそうです。実際に持ち帰る人も中にはいるそうですが、筆者のように知識のない人が持って帰っても、不思議なおみやげになってしまうだけなので、今回はクリニックで保存してもらうことにしました。
残念ながら治療の結果、筆者の歯は複数悪いところがあるようで、毎週通うようにとのことでした。今後このクリニックで新たな発見があればまたご紹介します!
(Taku)